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機械加工のススメ →  トップ
機械知識の蓄積と加工技術の継承を目的としたサイト
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はじめに・・



このホームページでは機械加工の技術を中心に
仕事の流れや注意点などをまとめております。

筆者の旋盤、フライス盤、NC旋盤、横中ぐり盤(六軸)、ボール盤(ラジアル含む)経験を元に製作しているため、偏った知識で表現されている際にはご了承ください。
※コメントにてフォロー願います

また、営業や外注、納期管理、検品、梱包、納品といった経験も踏まえて情報発信していきたいと考えております。

機械加工ってどんな仕事?って感じの方から
手に職をもって機械加工で食っていくぞと言う方や一歩先の技術を求める方に読んでいただけると幸いです。

今後、用語集の製作も計画中。



昨今では職人離れが加速しており、デスクワークを主体とする仕事が選ばれる傾向にあります。

職人のイメージとして古臭い、難しい、汚い、危険などマイナスイメージが強く、敬遠対象となってしまうようです。

確かに現場作業は汚れますし、すぐ近くに危険が山ほどあります。

ありますが・・危険なことは発生要因を理解し、注意を払うことで回避可能です。

是非「ものづくり」の楽しさを発見し、前向きに仕事をしていただければと思います。




日本が先進国として世界をリードしている背景に製造業の技術力はかかせません。

原料を輸入に頼る日本では、輸入した原料を加工して輸出することで利益を得るしかないのです。

団塊世代が去り行く中で若手が力をつけて時代を引っ張っていく・・そんな景色を望んでおります。


【日本国内の業種別割合(およそ)】
・製造業20%
・建設業10%
・サービス業30%
・飲食・卸売業20%
・その他20%
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機械加工とは・・



設計図(以後、図面)をもとに切削工具や工作機械を用いて機械部品を製作すること。

加工方法は切削加工や研削加工、研磨加工、プレス加工などがメジャーです。

【切削加工】
切削工具を使用して材料を削り取る加工法
一般的な加工法で、一度に削れる量が多い


【研削加工】
砥石を使用して材料表面を削り取る加工法
一度に削れる量は少ないが加工精度・面粗度に優れ、
高硬度材の加工も可能
※面粗度(表面粗さ)とは品物表面の綺麗さのこと


【研磨加工】
仕上工程として砥石を使用して材料表面を磨く加工法

※品物の内側(以後、内径)を砥石で研磨

【プレス加工】
材料をプレスして型抜きや形状変化させる加工法
削る作業がないため材料を無駄なく短時間で製作可能
しかし、一つの型で一種類しか製作できないため大量生産品向き

※上下の金型の間に材料をセットしてプレス


工作機械は旋盤やフライス盤、ボール盤、研磨加工機、NC工作機械、MC(マシニングセンタ)、複合機などが一般的です。

【旋盤】
材料を回転台(以後、チャック)に固定し、回転させた材料に切削工具を押し当てて加工する機械
一般的に刃物台が材料に対して前後左右に動く仕組み


【フライス盤】
材料を固定台(以後、テーブル)に固定し、刃物を回転させて加工する機械
一般的にテーブルが上下左右に動く仕組み


【ボール盤】
ドリル穴やネジ切り(タップ)に特化した機械
材料をテーブル(通常はバイス)に固定し、ドリルやタップを回転させて上下方向に加工
テーブルは主軸に対して手動による円弧移動が可能


【研削・研磨加工機】
旋盤タイプとフライス(平面)タイプがある
チャックに材料をセットして回転させ、砥石を当てて研磨する機械が旋盤タイプ
テーブルに材料を固定し、回転させた砥石で研磨する機械がフライスタイプ


【NC工作機械】
旋盤、フライス盤にNC装置(数値制御)が組み込まれた機械をNC旋盤、NCフライスと呼ぶ
座標を数値制御することにより千分台の移動や曲線の加工が容易になる
プログラムにより同一品の加工を自動で繰り返すことが可能


【MC(マシニングセンタ)】
NCフライスに工具交換装置(ATC)が付いた機械をマシニングと呼ぶ
加工軸が上部から側面に稼動するものや、テーブルの回転により
一度に複数面の加工が可能なものもあり、高精度要求(直角度や平行度)に対応できる


【複合機】
NC旋盤に横穴加工やフライス加工をチャッキングしたままできる機械
そのため、高精度要求に対応できるとともに時間短縮に繋がる
なお、切削工具の干渉や軸移動の狭さにより加工制限が厳しくなる場合が多い

図面確認・・



とにもかくにも図面を見ずに加工作業へは移れません。


※図面は大体こんな感じ

中央に図があり、四隅に詳細情報や注意書きが書かれています。
3D図を載せてくれているところはわかりやすくて助かります。

部品図(上図)があれば必ず組立図がありますので可能であれば必ず見せてもらいましょう。

加工する品物がどのような場所で使用されるか、どの部品と組まれるかがわかるため、特に重要な部分やそうでない部分を見分けることができます。

重要な部分はできる限り後工程に回し、ドリルや重切削などの圧力や熱変形による公差外れを回避しましょう。

重要な部分を失敗した場合は作り直しとなりますが、そうでない部分を失敗した場合、担当者との話し合いで特採処置として認めてもらえる場合があります。



【図面を見る上で重要なこと】
・材料の種類(扱ったことはある?)
※同じステンレスでも番号が違うと全然別物
例)SUS304とSUS640
(通常、百番台の数値の変化で加工感覚が変化)

・大きさと重量(機械にセット可能?)

・溶接の有無(溶接後の変形は考慮した?)

・表面処理の有無(外注先はある?)

・公差確認(加工技術に問題なし?)

・表面粗さの確認(研磨は必要?)

・加工順序(加工できる?治具は必要?)

・加工時間の試算(納期に間に合う?)

・納期確認(余裕はある?)
※図面は基本的に使い回すため、納期表示のないものが多い

・不明な点があれば担当者へ確認



【担当者が知りたいこと】
・プロフェッショナルか(欠陥品を納品されると困る)

・完品対応可能か(発注の手間を省きたい)

・納期に間に合うか(納期に遅れると困る)

・金額は予算内で納まるか(査定に響く)



一番重要なことは手元の機械で加工できるかできないか。

できないものをできると息巻いたあとの精神的苦痛は相当なもので、担当者に謝って図面を返すか赤字覚悟で外注へ出すかの二択となります。

材料調達・・



納期と金額の商談がまとまった時点で材料を調達しましょう。

材料支給の場合であっても、何が起こるかわからないため材料屋とのラインは作っておきましょう。


【材料屋の特色】
・○×鋼材や○×商店といった店名が多い

・鉄系専門やステンレス系専門など分かれている場合が多い
※専門外のものは高単価

・3ヶ月~半年に1回、価格改定を実施
※材料の相場は世界情勢や原油先物などにより随時変動

・材料屋によって材料価格が全然違う

・材料カット代はキッチリ取る


材料カットの機械はAMADAが主流


【材料調達の心得】
・近場で無理を聞いてもらえる材料屋を確保
※その場で材料をカットしてもらい持ち帰りなど

・単価が安くて配送してもらえる材料屋を確保

・材料を真っ直ぐカットできる技術があるか要チェック

・材料屋と顔を合わせたときは世間話
※相場の変動や景気動向などを確認
※仕事を仲介している材料屋も有り

・相見積をして適正価格か確認

・よく使用する材料帯は定尺買いで安く確保
※材料屋で保管してくれる場合も有り
※長い場合は簡易切断機(以後、ジャン切り)で半分か3分の1にカット

・材料価格をデータ化
※リピート品や類似品の受注時、単価交渉で使用

・材料屋のカレンダーと業務時間帯を把握
※得意先への迅速な納期回答で信頼度UP


ジャン切り(卓上)
治具製作・・



切削加工をするに当たって手持ちの切削工具だけでは加工出来ない場合や効率が悪い場合は治具を製作しましょう。

材料を機械にセットした後に治具製作を忘れてたってことになると二度手間となります。

そうならないためにも図面をしっかりと確認し、頭のなかで加工の段取りを組み、手際よく作業に取り組みたいものです。


治具は購入できるものもたくさんありますが、経費削減・技術力強化のためにも自前で製作が基本。

普段、仕事中に思いついた効率アップ治具は製作メモに記しておき、暇なときに製作しましょう。




【治具が必要な状況】
・材料が固定不可もしくは動かないか心配

・刃物が切削箇所に届かない

・ビビリの心配があるもしくはビビル
※刃物選定、研ぎ方が悪い可能性も有り

・加工効率が悪い、寸法誤差が大きい


【便利な治具紹介】
・正直台(Vブロック)

加工や測定の基準がきちんと出せるようにするための補助具
他に寸法を揃えた角物の「ようかん」やリング状の「ドーナツ」がある


・センタージャッキ



・スクリュージャッキ



・ステップクランプセット

階段状にした台座で微調整可能


・カップリングナット

寸切りの延長に使用(ジャッキ代わりにも)


・三方バイトホルダー(バリキ)

刃物台の延長治具


・当たり

寸切りなどで機械に合った当たりを製作しておくと数物に有効


・加工座


二個目以降、型にセットしてクランプすれば芯出し不要
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